成田秀幸 
精神科医

 発達障害に関する最近の流れとして「早期発見・早期療育」「エビデンス」「(障害者差別解消法でうたわれている)合理的配慮」などのキーワードが重要視されています。そんななか、そういったキーワードが踏み絵のようになってしまって、専門家同士、家族と専門家、家族と学校がお互いを査定したり批判したりする材料になり「~せねばならない」「~すべきではない」というがんじがらめの対立関係が目立ってきてしまっているように自分は感じております。主役である子ども本人は置き去りになっていないか、と。個人的には「対立関係」ではなく「協働関係」が理想で、支援の流れの中でそのような関係が築かれているケースでは、想像をはるかに超える子どもさんの成長・発達、関係性の改善や発展につながり、幸せなことに職業的にそういった場面を間近でみさせていただいています。しかしながらこの「協働関係」になかなかなりづらいことのほうが多く苦労することが多いので、自分はそのあたりの話をさせていただきます。


上原篤彦 
群馬県教育委員会特別支援教育課 課長

群馬県教育委員会特別支援教育課 課長 
 群馬県教育委員会特別支援教育課長。大学教育学部障害児教育学科卒業後、特殊学級担任、養護学校教諭後、前橋市教育委員会指導主事(特別支援教育・就学指導担当)、群馬県教育委員会特別支援教育室補佐を歴任。平成23年から渋川市長尾小学校長、平成26年から群馬大学教育学部附属小学校副校長、平成28年から現職。特別支援の現場で、教諭、管理職として、行政の立場として、保護者として(特性のある子供の親です)いろいろなケースにかかわってきました。
 難しいケースも数々ありました。迷った時、いつも自問自答することは、「その選択は、その子にとってよいのか?その子供の笑顔をたもてることなのか?」でした。子供たちから距離のある行政にあっては特に忘れてはいけないベクトルであると思っています。
 子供のちょっとしたしぐさを感じとれる心の余裕をいつも持っていたいと思い、バイクに乗ったり、小さな車をいじったり、弓を引いたり、釣りをしたり、・・・・いろいろな時間を持つようにしています。

稲岡隆之

群馬県発達障害者支援センター所長

大阪府東大阪市出身

1986年早稲田大学大学院心理学専攻卒業後に群馬県庁に入庁。

児童相談所心理判定員として勤務し、障害児や被虐待児等の判定や心理治療に関わる中、

家族の関わりが最も重要と考え、児童相談所が行う家族療法の研修会に参加。その後在籍した児童自立支援施設や現在の発達障害者支援センターでもケースの見立てに、3世代ジェノグラムをとることを基本に考えている。今は発達障害の方、御家族の辛さを想像し、十分に理解を示せているのか、自問しながら相談活動を続けている。

司会

岩崎和子 養護教諭

 保健室には発達障害の傾向がある子がやってきます。そうした子ども達を誰にどう繋げていくのか、学校内では、担任教師やスクールカウンセラーらとの関係つくりにも苦慮します。また、学校の管理者の理解で、子どもの対応も変わると思います。3人とシンポジストに現場からの質問を投げかけ、コメンテーターの先生の意見を沢山聞ければと思います。

  

コメンテーター

吉川 悟 臨床心理士、龍谷大学教授

システムズアプローチ&家族療法の中心的存在。家族、学校、会社、病院、地域などのシステムを円滑に機能するために援助組織の協働推進の理論とスキルを持つ。